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周りの人に、持病を理解してもらうということ。

~伝えることの難しさ~

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2022.8.5

よく、障害や難病をお持ちの方が、「合理的配慮」という言葉を用いる場合がありますが、わたしには合理的配慮、という言葉がとても難しいように感じています。

同じ健常者同士ですら、分かり合うことは難しい。これが、発達障害だとか身体障害だとか、難病となってくると、また理解することが枝分かれしていくわけです。

今回は、自分が病気を受容しているかではなく、相手がどれだけ理解してくれるのか、という点にフォーカスして書いていきたいと思います。

執筆:xu

先に言っておきますが、あくまで自戒の意も込めてこの記事を書いています。

それを踏まえて、どうも障害や難病のことを理解してもらえないな、と憤りを覚えている方、あるいは障害者や難病患者のことをいまいち理解するのが難しいな、と考えている方に読んでいただきたいです。

そもそも、合理的配慮とは?

合理的配慮とは、手助けをする側の負担が重くなりすぎない程度に、障害者や難病患者などに対応することです。

障害者や難病患者は、健常者に比べて生きていくことにハンデがあることから、社会に存在しているバリアを取り払うために、手助けが必要となる場合があります。
その時に、手助けを求められた人は負担が重くなりすぎない程度に対応することが推奨されています。

また、手助けをする側が負担が重すぎると感じた場合は、なぜそう思ったのかという理由を説明し、別のやり方を提案しながら話し合って、相互理解を深めることが必要です。

最近、合理的配慮を全面的に押し出して問題になったケースもありますが、合理的配慮はその人や組織の力量に見合ったお願いしかできない、ということです。
また、出来ない場合も、依頼された側は他の方法で提案する努力が必要となります。

一人ひとりの病気を理解することは難しい

合理的配慮では、「障害や難病の特性、場面や状況に応じて対応する必要がある」とされていますが、これもまた難しいことですよね。

例えば、職場で例えてみます。

合理的配慮、という側面で、会社側に病気の詳細を記載した「できること・できないことリスト」を提出し、事務所の目のつくところに貼っておいてもらったことがありました。

ですが、それに目を通している人はごくわずかだったのでしょう。
ほとんどの人が、むしろ目を通したはずの上司までもが理解してくれていなかったのです。
(まぁ、紙切れ一枚で理解してくれ、は無理があったと思いましたが…)

また、別の会社では、病気が悪化して長期休暇をいただいたことがありました。

職場復帰の際、「病気の悪化により、通勤時間が長い現場は難しい、できれば内勤や在宅勤務希望」と伝えても、なかなか考慮した案件を提示してくださいませんでした。

挙句の果てには、「慈善事業ではないですから」と言われるありさまです。

どれだけこちらが伝えても、わかってくれる人はいなかった。
でも、それも当然のことだとも思います。

なぜなら、家族や親しい友人にすら、病気のことを理解してもらうことは難しいからです。

家族や友人にすら完全には理解してもらえない

当たり前のことだ、と言われてしまえばそれまでですが、やはり人間には覚えられることや興味を示すものには限度があります。

そのため、他人の病状までをいちいち細かく把握することはできない、ということです。

極端な例で言えば、ある友人は抹茶が苦手で、ある友人は抹茶が大丈夫(大好きまでではない)という場合。

あれ、どっちがどっちだったっけ?となることはありませんか?
それで、「抹茶大丈夫だったよね?」と聞くと、苦々しい顔をされた経験も。

多分、そんな感覚なんだと思います。


病気のことを深く理解できていなかった。あるいは、病気であることを忘れてしまってた。

その結果、「体力落ちたんじゃない?」とか、「まだ傘さしてるんだ」とか、そういったことを言ってくるのではないかと考えています。


わかりやすく、病気の調子はどう?と聞いてくる人もいます。
ですが、あくまでこれはレアケースです。

大体の人は、病気だったことすら忘れてしまう。
特に、目に見えない内部疾患の場合はそうだと思います。

極論を言うと、人に求めすぎてはいけない、ということです。

病気や障害を自分から伝える努力をする

だからと言って、伝えることを諦めろ、とは言いません。
むしろ、伝えることはやめないでください。

極端に言えば、理解のある人や職場を探す方が建設的ですよね。

でも、現実はそうではなくて。
家族や友達・職場に病気や障害のことをわかってほしい・合理的配慮をしてほしいなら、くどいぐらいに、自分から伝える努力が必要です。
(かと言って、アピールしすぎると病気・障害アピうざー…となりますが…)

自分の身体にないことを理解するのって、とてもむずかしいことだと思います。
だから、「これ、前言ったのにな」「あれ、病気は治るものだと思われてる?」「病気・障害のこと忘れてそう…」と思っても、辛抱強くまた説明しましょう。

決して、嫌な顔をせず。決して、落ち込まず。
自分のことを知ってもらうためには、必要なプロセスです。

障害や難病は、症状や特性が十人十色です。だからこそ、自分の特性を相手に理解してもらえるように、しっかりと説明する必要があります。

そうすることで、家族や友人だけでなく、職場や学校などでも良好な関係性を築いていけるのではないでしょうか。

わたしの経験談が、あなたの人生のヒントになれば幸いです。


※合理的配慮・参照記事:内閣府│「合理的配慮」を知っていますか?

Text by
xu twitter note homepage

1998年生まれ。17歳の時に全身性エリテマトーデスを発症、22歳の時に線維筋痛症を併発した。高校卒業後は広告代理店でライターとして勤務し、その後フリーのライターとして独立。
趣味はゲームをすること。noteではコラム未満の病気の話やエッセイなどを執筆している。

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