憂鬱な通院で、人のやさしさに触れたこと。
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2023.8.21
持病があると、どうしても付きまとうのは日々の通院。それが1週間に一度や二週間に一度、一ヶ月に一回など人によってその頻度は異なると思います。
総合病院に通う患者にとって、通院は1日が潰れる憂鬱な日。
そんな憂鬱な日に、人のやさしさに触れた1コマをお話したいと思います。
執筆:xu
生きていくために必要なもの。それは、月一回の通院です。
その日は採血・採尿をして、数値上に異常がないか検査する日となっています。
総合病院への通院は、一日かかる長丁場。お休みの日が潰れるし、ずっと待合室のイスに座っていなければいけないので憂鬱な一日です。
一番嫌なことは採血。痛いので苦手な検査項目の一つです。
一度迷走神経反射を起こして倒れてしまったことがあり、それ以来ベッドで採血してもらっているのですが、やはり採血室が混んでいると準備に手間をかけてしまうので、心苦しい気持ちにもなります。
そんな、いつもと変わらない採血の日に、ある看護師さんがかけてくれた言葉を今でも覚えています。
慌ただしい採血室で、ひときわ丁寧でありながらテキパキと仕事をこなす看護師さんがわたしの採血担当になりました。
中央処置室のベッドはほぼ満床で、またも申し訳ない気持ちになりながらベッドに横になり、採血部分を見ないようにしながら採血をしてもらっている時、看護師さんが気を紛らわすために声をかけてくれる時があります。
その時の看護師さんは、こんな言葉をかけてくれました。
「今日は嫌なことをたくさんしたから、おいしいものを食べたりしてたくさん好きなことをしてくださいね」
こんなに忙しい中、労わるような言葉をかけてくれるなんて思ってもみなかったわたしは驚きながらも即座に笑顔で「はい、そうします」と答えましたが、胸の中には暖かなものが広がっていくのを感じていました。
そうか、今日は嫌なことだけでなく、嫌なことをがんばった自分にご褒美をあげても良い日なんだ。
そう思うと、憂鬱な病院の日も少しはマシになるように感じました。
これはまた違うある日のこと、急に入浴中に意識が遠のき、そのあと呼吸が苦しくなったため救急外来を受診したことがありました。
初めての経験だったので不安でいっぱいの中、なんとあの採血してくれた看護師さんと再会したのです。
以前にも一度救急外来を受診したことがあるのですが、命に別状がないと冷たくあしらわれて、不安でいっぱいな中受診したのに残念な気持ちになったことから、救急外来に行くことにためらいがありました。
そんな中、例の看護師さんはまたもわたしに優しい言葉をかけてくれたのです。
「大丈夫ですからね、もう病院に来たから安心ですよ」
また意識が飛ぶんじゃないか、と不安な中、暖かい言葉をかけてもらえたことで身体の緊張が少しほぐれたように感じました。
結局、検査の結果異常はありませんでしたが、冷たくあしらうことは決してなく、「これで安心してお家に帰れますね」と笑っていただいたことで、不安でいっぱいだった気持ちが一気に楽になったことを覚えています。
病気になったことで、生きていることのありがたみを実感したほかに、お医者さんや看護師さんから労わりの言葉をかけてもらうことがあるなど他人のやさしさに触れることで、他人への感謝の気持ちがよりいっそう芽生えたように感じています。
入院中も、情緒不安定な時に仕事を止めて話を聞いてくれた看護師さんや、同じ趣味を持っている看護師さんを連れてきて場を和ませてくれたことで、退屈な入院生活が色のある生活になったこともとても印象に残っています。
どんなに忙しい時でも、笑顔で思いやりの心を忘れずに接してくれた看護師さんたちに感謝を込めて。
その感謝の気持ちを忘れずに、わたしも他人に思いやりを持って接することができる、やさしい人になりたいです。