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恐怖で首が震える…運動会のピストルの音が苦手だった小学生の話

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2023.11.1

こんにちは。あかいあおいです。
おかげさまで充実した毎日を過ごせております。
今回はSNSを見ていてハッとさせられた投稿があったので紹介させてください。

執筆:あかい あおい

とある投稿をきっかけにピストルへの恐怖を思い出す

ある日SNSをふわーっと見てる時のことでした。
"徒競走のピストルの音が苦手な息子さんを持つ親御さん"の投稿が目に入りました。そこで私も学生時代に徒競走のピストルの音がすごく怖かったのをふと思い出しました。

未だに音に関する恐怖は多いので、いつかコラムでも書かせていただきたいと思って色々と具体例やどれくらい辛いかを纏めていたのですが、ピストルの音についてはすっかり頭から消えていました。

なのでこの投稿を見た瞬間、最近診断された社会不安の特徴と似ていて合点がいったというか、アハ体験みたいな感覚になったというか、なんとも言えない気持ちになりました。こういうふとした出会いでも気付きってあるんだなぁと思った次第です。

話を戻しますが、ピストルの音がどれくらい苦手だったかと言うと、ピストルの音がした瞬間に首が震えて、動きが止まってしまいます。

動きが止まるのはあくまで一瞬ですし、それ自体が痛みを伴うわけではないのですが、"震えたらどうしよう""次こそ震えないようにしないといけない"という精神的な苦痛・不安が大きかったです。

自分だけ震えているのがとにかく恥ずかしかった

ピストルの音で初めて震えたのは、小学校低学年の運動会の予行演習だったと思います。それまでは笛を使って徒競走の練習をしていたのですが、その日は予行演習だったからか初めてピストルを使用しました。

まだ小学生だったこともあり、走者以外は校庭の好きな場所で各々好きなことをしており、私も友達と話しをしている最中でした。

突然ピストルの音が聞こえて、驚いて首が震えたんです。友人たちはそれを他所に平気な顔。なので自分だけがびっくりしたんだと恥ずかしくなり、必死に平生を取り繕ったのを覚えています。

その後も徒競走の練習は続き、同学年の人達が順々に走っていきます。出席番号順に走っていたのですが、私は番号が遅かったのでしばらくは見ている側。

初めの何発かはピストルの度にびっくりしていたのですが、繰り返すうちに、音がする瞬間に首に力を入れると震えないことに気が付きました。

"とにかく震えたくない""友達に笑われるのが恥ずかしかった"私は、なんとかこの方法で一難を乗り越えます。ですがそれだけでは解決には至りませんでした…

それは自分が走る2、3組前になった時のことです。何組か後の走者ってスタートラインの近くで待機するじゃないですか。その位置に移動したら、ピストルの音がこれまで以上に大きくて、先に述べたように首に力を入れても耐えきれないくらい怖かったんです。

ピストルに近い位置に行けば行くほど音が大きくなるなんて、今となってみれば当たり前のことですが、当時の私にはそこまで考える力はありませんでした。

あと2組、あと1組、徐々に自分の番が近づく度に緊張感が高まります。先生に助けを求められれば良かったのでしょうが、それも恥ずかしくて無理でした。とにかく昔の私は恥ずかしがり屋で、いかに恥ずかしいことをしないかが行動の軸になってしまっていました。

そしてついに自分の順番。スタートラインに立った瞬間は意外と平気でした。しかし「位置について」「よーい」の間の沈黙が、緊張を極限状態まで引き上げます。いつになったらピストルの音がするのかわからないので、私は絶えず首に力を入れてピストルの音を待ちました。

そして音が鳴ります。緊張状態が続いたせいか、真横でピストルの音がしたせいか、首はいつも以上に震えた気がします。私は一瞬動揺した後、我に返ってすぐさま走り出しますが、ピストルの音に怯えたせいで完全に出遅れており結果はビリ。ピストルの音に関わらず、小さい頃はぽっちゃりした体型だったので、そもそも徒競走自体苦手だったのもあるのですが…笑

本番でもやっぱり震えてしまう…でもバレてなきゃいいやで済ましてしまった小学生時代

運動会当日も状況は変わらず、ピストルの音に驚いたり、首に力を入れてやりすごしたりを繰り返しながら自分の番を待ちました。そしてついに自分の番。……首はやっぱり震えてしまいました。

後日、家族が撮影してくれたビデオを見たのですが、私だけ1、2秒遅くスタートしており、それがすごく不自然でした。

しかし当時家族や先生・同級生からですら、走り出すのが遅い・首が震えていると指摘されたことはありません。もしかしたら気を遣って言わないでいてくれた人もいたかもしれませんし、実際周りの人達からどのように見えていたのかはわかりませんが、当時の私としては"きっとぼっちゃりしてるから反応が遅いみたいに思われてるんだろうな""震えてるのがバレてなきゃ恥ずかしくもないしなんでもいいや"という感じで考えるのを辞めた記憶があります。

その後も小学校では運動会の度にピストルの音に震えていたのですが、中学校は笛を使用、高校は笛すら使わないで徒競走を行う学校だったので、ピストルの音に悩まされることはなくなり、次第に記憶からも薄れていきました。そうして今に至ります。

考えてみるとピストルの音を間近で聞く機会って、結構限られますよね。
なので学校に限らず特性を持っているorその可能性がある人が大勢いるかもしれない中でピストルを使用するのってあんまり良いことじゃないよなぁと感じました。ピストルが必要不可欠であれば話は変わりますけど、そういうわけでもないですし。

…今回は思い出話みたいになってすいません。
自身の生き辛さを発信するのが目的なのはもちろんですが、大人になって自分の辛さを言語化する能力を得たからこそ、非当事者の方に「こういう特性もあるのか」と理解いただけるような物が作りたくて執筆しました。

少しでも誰かの元に届けば良いなと思います。
寒くなってきたので、皆様体調には気をつけてお過ごしください!

1995年生まれ。発達障がい・学習障がい・社会不安障がい・うつ・睡眠障がい持ち。出版社とか編集プロダクションとかでライターをやってました。前職在職中に障がいが発覚。大人になってから障がいがわかった系です。現在はオープン就労。趣味は詩を書くこと。夜な夜な生きづらさや葛藤を綴ってます。

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